疊 永瀬商店|NAGASE tatami

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畳のある生活

cafe はまぐり堂

cafe はまぐり堂

オーナー 亀山 貴一さん

Vol.
01

自然に逆らわず共存できる家が、本来の家。
畳のよさも一緒に伝えていきたい。

東日本大震災で壊滅的な被害を受けた集落「蛤浜」。ここに再び灯ったあたたかな光の名は、「cafeはまぐり堂」。取り戻せない時間を超えて、新しい時を刻み始めたカフェです。今も畳の間を残し、昔ながらのくらしを肌で感じられる、貴重な空間を提供しています。今回は「畳のある生活」第1回目の特別プロジェクトとして、「cafeはまぐり堂」オーナー亀山さん了承のもと、「表替え」をさせてもらいました。そして、亀山さんと一緒に「畳のある生活」に思いを巡らせます。
「cafeはまぐり堂」はもともと、オーナーの亀山さんが生まれ育った家。「表替え」のために訪れた和室では、亀山さんと、日に焼けた畳が出迎えてくれました。
「曾祖父が建てた家です。相当こだわって造ったようで、頑丈ですよね。実は高校までここで過ごしましたが、一度家族みんなで離れたんです。その後、就職と結婚を機に私が戻り、当時空き家になっていた家を少し改装してまた住み始めたんです。そして間もなく震災。集落ごと壊滅しました。津波被害から1年経っても、まだ泥の中に埋もれていたんですが、全国各地から集まってくれたボランティアさんたちの力を借りて、カフェとして再生することができました。自分にとってそうであるように、みんなの故郷になるような場所を、蛤浜に造りたかったんです」
「震災の5年前くらいに表替えをしたはずなんですけどね。
カフェをオープンしてから、多い日には150人くらいのお客さんがいらっしゃるので、どうしても早く傷んでしまいます。一般家庭なら20年は持つと聞きますから、異例のスピードですよね」
施工を担当してくれたのは、石巻の畳屋さん「茂木畳店」。あっという間に畳をはがし、次々トラックへ。「畳の芯にあたる『畳床』が頑丈だから、ちゃんとした畳に生まれ変わる」と話してくれました。
それからわずか5時間ほど。「畳表」を替えて美しく生まれ変わった10畳の畳が帰ってきました。
1枚、また1枚と敷き詰められていく畳。真新しい、イグサの匂いが風に乗って漂います。なんだか誇らしい気持ちになるのは何故でしょうね。
見事に再生された和室。窓からの光を受け、畳特有の陰影が生まれます。寝転がってしまいたい気持ちに駆られますね。
新しい畳表の上で、早速亀山さんにお話を伺いました。亀山さん、どうですか?
古民家の手入れは大変じゃないでしょうか。
「間もなく百年。津波も、その後の土砂崩れにも巻き込まれましたが、まだまだ住めますね。昔の家って、自然と共存できるように造られているじゃないですか。自然は強い。人間がどうにかしようなんて、できないんです。だからこそ、自然と共存できればいいなと思っています。昔の知恵を生かしながら、現代の技術とも融合させて、次の時代につなぎたい。再発見と新発見とでも言うのでしょうか。畳もそのひとつですよね。湿気を吸って呼吸して、日本の四季とともに変化する。この畳のよさも、次の世代に伝えていきたいと思います」